ある程度の経験を重ねてきた外科医であれば、「それは脳外科の話でしょう? こちらは心臓外科だから世界が違う」などと突っぱねてしまう人がほとんどでしょう。自分も若いころならそうだったはずです。しかし、この年になってみると、“名人の言葉”には素直に耳を傾けられるものです。
私のポリシーは「あきらめちゃいけない」ということです。「自分には、もうこれ以上はないんじゃないか」と思ってしまったら、もうそこで終わりです。自分よりも年配の「神の手」と呼ばれているような外科医が、より高い完成度を求めてまい進しているわけですから、こちらもこれまで積み重ねてきた経験と英知を結集して、さらに頑張らなければ追いつくことはできません。そして、それだけまだ伸びる余地もあるということです。福島先生からは、そんな勇気をもらうことができました。
天皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」