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腎臓<7> どんな人が機能低下しやすいのか

 腎臓の機能が低下しやすい人は人一倍、注意が必要です。ではどんなタイプが危ないのでしょう。

 まずは「高齢者」「身内に腎臓病の患者がいる」「検診で尿や腎機能および腎形態異常を指摘された」「高脂血症」「高尿酸血症」「解熱鎮痛薬などの常用薬がある」「急性腎不全の既往症がある」
「高血圧」「耐糖能異常や糖尿病がある」「肥満やメタボリック症候群」「膠原病」「感染症」「尿路結石」などを指摘された方です。

 最もハイリスクな群は65歳以上の高齢者。日本では70代が30%、80代では45%が慢性腎臓病とされています。高齢者でタンパク尿がある場合は末期腎不全のリスクが高まります。注意しましょう。

 高齢者が気をつけたい腎臓病は、血管炎、解熱鎮痛剤、前立腺疾患、骨髄腫、造影剤腎症、降圧薬などによる腎障害です。

 解熱鎮痛薬でも特に非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)は、医療現場でよく使われています。プロスタグランジン合成阻害作用があり、腎臓の血流の悪化から急性腎不全に陥ることがあります。アレルギーとしての腎障害も起こることがあるので注意しましょう。

 NSAIDsはなるべく高齢者には避けるべき薬です。投与前に外用薬などの使用やアセトアミノフェンを投与し、NSAIDsを使用せざるを得ない場合は、半減期の短い薬剤を処方してもらい、短期投与にとどめ、十分に水分をとることが望ましい。造影剤腎症は腎機能が正常であれば起きませんが、腎機能が低下するにつれて起きる危険性が上昇します。造影剤検査を行う前には、必ず腎機能評価をしておくことが重要です。

(松尾内科クリニック・松尾孝俊院長)