ダイエットを科学する

「朝食抜き」は痩せるって本当なの?

朝食は大事
朝食は大事(C)日刊ゲンダイ

「朝食を抜いたほうが、摂取カロリーが減り、やせる」。若い女性を中心にそう信じ込んでいる人は多いが、本当なのだろうか。

 この疑問にズバリ答えている本がある。「佐々木敏の栄養データはこう読む!」(女子栄養大学出版部)だ。著者の佐々木敏・東京大学大学院教授は食べ物(栄養学)と健康とのつながりを疫学的に調べる「栄養疫学」の第一人者だ。

 先に結論を言えば、朝食抜きはやせるは間違い。その科学的根拠のひとつは、ある栄養疫学調査にあるという。それは1985年にオーストラリアの109の小中学校で行われた朝食抜きに関する調査と、その20年後に行われた調査の結果だ。

 子供の頃も大人になってからも朝食を取っていた人を○○、子供の時は朝食抜きで大人で取るようになった人を×○、その逆を○×、どちらも朝食抜きの人を××として肥満度と腹囲を調べた。

 結果は○○の人のBMIは25.7、××の人は27.5だったという。○×、×○はそれぞれ26.0、26.4だった。

 腹囲の差は、○○は83.5センチ、××は88.6センチと5センチの差があった。

 朝食を取らないと太る理由は、朝食を抜くと、その分お腹がすいて、昼食や夕食をドカ食いするからといわれているが、これも眉唾らしい。

 朝食を抜いた子供の、その後の食事によるエネルギー摂取量を調べた米国の研究によると、朝食を抜いた子供は昼食や夕食を少し多めに食べる傾向があったものの、1日のエネルギー摂取量はほとんど変わらなかったことがわかっている。

 つまり、朝食抜きはドカ食いして太るというのは間違いということだ。

■テレビを見る時間が長くなる

 ならば、朝食抜きはなぜ太るのか? 答えは朝食抜きの大人は余暇の運動時間が短く、テレビの視聴時間が長いことが一因らしい。これは冒頭のオーストラリアの研究で明らかにしている。週5時間以上運動する割合は、○○が17%、××が9%。週に21時間以上テレビを見る割合は、○○は13%で××が24%だった。

 つまり、朝食を抜く人はそうでない人に比べて体を動かしていないというわけだ。朝食を抜くと体に力が入らず、動けなくなるということなのだろうか。

 いずれにせよ、やせたいから朝食抜きは単なる迷信で科学的ではないということ。あなたは根拠のない、間違った常識にとらわれていない?