Dr.中川のみんなで越えるがんの壁

M・ダグラス公表 舌と喉の腫瘍は放射線で生活機能を守る

■6割がセックスで感染

 もう一つは、舌がんは男性に多いこと。女性の2倍で、50~70代で発症しやすい。原因は明らかではありませんが、飲酒や喫煙による影響と歯並びや入れ歯などの刺激によって、誘発すると考えられます。歯並びが悪かったり、入れ歯が合わなかったりして、舌が持続的な刺激を受けると、舌がんのリスクが高まるのです。舌の縁や裏側によくできます。

 そういうケースだと、硬いしこりができやすいため、3分の2は異変に気づいて早期に見つかります。初期だと、痛みや出血が必ずしも表れるとは限りません。

 ダグラスのようにがんが舌の奥や裏にできると、自分で見えにくく、症状も表れにくいため、発見が遅れやすい。進行すると、病変が潰瘍になって、痛みや出血が持続。口臭が強くなりやすい。ダグラスの受診も痛みがキッカケでした。

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中川恵一

中川恵一

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。