数字が語る医療の真実

助かるのであればがんは「遅く」見つかった方がいい

「できるだけ早く見つけて、早く治療したほうがいい」――。これが、がん検診のコンセプトです。しかし、今回は「結果が同じなら、できるだけ遅く見つかったほうがいい」という話をしましょう。

「遅く」というのが「早く」の誤りではないかと思われたかもしれませんが、そうではありません。

 具体的な例で考えてみましょう。がんが1ミリの大きさで見つかっても、10ミリの大きさで見つかっても、50ミリで見つかっても、治療によってその後は同じような寿命が得られるとしたら、あなたにとってどれが一番いいでしょうか。

 多くの人は、「そりゃあ、1ミリで見つかる場合だろう」と言うかもしれません。しかし、そこには「より早く見つかった方が寿命が長いに違いない」というような前提をすでにつくっている面があるのではないでしょうか。よく考えてみてください。「寿命が同じ」だとしたら、どうでしょうか。

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名郷直樹

「CMECジャーナルクラブ」編集長。東大薬学部非常勤講師。東大医学教育国際協力研究センター学外客員研究員、臨床研究適正評価教育機構理事)自治医科大卒。名古屋第二赤十字病院にて研修後、作手村国民健康保険診療所にてへき地診療所医療に携わる。95年同診療所所長。05年東京北社会保険病院臨床研修センター長。「『健康第一』は間違っている」などの著書がある。