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【脊椎圧迫骨折】東部地域病院 整形外科(東京都葛飾区)

東部地域病院 整形外科の嶋村佳雄部長(提供写真)

 脊椎が1個でも骨折すると、2個、3個と骨折連鎖が起こる。すると背中が丸くなり、胸が圧迫されて肺活量や食欲が低下する。加えて、腰などの慢性的な痛みがあると抑うつや睡眠障害も起こる。結果、日常の活動量が減るので、さらに骨が弱くなり、最終的には「寝たきり」になる危険性が高まるのだ。

「レントゲンで圧迫骨折が見つかったら、治療の基本は保存的療法です。コルセットを着けて、3週間以上ベッドの上で安静にして潰れた骨が癒合(固まる)するのを待つのです。その間、痛み止めや骨粗しょう症の薬も使います」

 保存的療法で8割以上の患者は癒合するが、骨粗しょう症が進行していて癒合しないケースもある。その場合、従来であれば金属のネジや棒で骨を固定する大がかりな手術(固定術)が必要になる。それが同科では、第2選択肢としてBKPの検討ができるのだ。

「BKPは全身麻酔でうつぶせに寝た状態で行います。背中に針を刺し、骨折した椎体へ細い経路を作り、そこへ小さなバルーン(風船)の付いた器具を入れます。そして、バルーンを造影剤で徐々に膨らませ、潰れた骨を持ち上げて、できるだけ元の状態に戻します。その空間に骨セメント(樹脂)を加圧せずに充填して埋めるだけです」

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