独白 愉快な“病人”たち

脳梗塞を経験したシェリーさん 「生きてるだけで丸儲け」

シェリーさん(C)日刊ゲンダイ

 運転中に脳梗塞を起こし、人通りのない所に車を止めたがために、人知れず亡くなった方の話も聞いていたので、「とにかく会社まで行って助けてもらうしかない」と、道路の左側を徐行運転で車を走らせました。

 会社までは信号が5つ、2キロほど。その時は「信号変わらないで!」と必死で祈って。会社の駐車場に車を止め、出勤してきた同僚に左手で、「アタマ、切れた(ハサミ)」とジェスチャーし、救急車を呼んでもらいました。

 早急な措置が必要なことは身内を見ていてよく分かっていたので、救急隊員には診察券を渡し、必死でこの病院に行ってほしいと伝えました。幸い、主治医が受け入れてくれ、勤務先の千里から茨木まで高速を使って運んでもらえて。おかげで寝たきりにならずに済みました。

 入院してから、桑名正博さんにメールをしたら、「今、宇和島やから、大阪に帰ったら見舞い行くわ!」と返事があったのに、今度は逆に桑名さんが脳幹出血で倒れてしまって……。慌てて私の方が点滴を外して見舞いに行きました。ところが、私が退院して間もなく桑名さんが亡くなったのです。「生きているだけでありがたい」と痛感する出来事でした。

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