仮にものすごい幸運に恵まれて、心臓疾患によって苦しまずに突然死を迎えたとしても、本人以外の周囲は非常に苦しい思いをします。たとえば、地方から東京に来ているときに発作を起こして倒れて緊急手術になった場合、家族は遠方から呼び出されたうえ、心の準備もできないまま「どうなってしまうんだろう……」という不安を抱えながら過ごさなければなりません。本人が苦しまずに亡くなったとしても、周囲の誰かが心身の障害を受けることになるのです。
こうした状況を防ぐためには、突然死を招くような病気を発症する前の段階で治療や生活習慣を改善するなどしてしっかりコントロールするか、病気が発症してしまったらエビデンスにのっとった治療を受けるしかありません。
当然のことですが、基礎疾患があるのに「治療しなければ、コロリと逝けるかもしれない」などという考え方は論外です。
ピンピンコロリが理想的だという“幻想”にとらわれず、「ピンピンジワリ」に気を付けることが肝要なのです。
天皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」