数字が語る医療の真実

がん検診が過大に評価されるカラクリ

写真はイメージ(提供写真)

■受診した人の生存期間はもともと長い

 つまり、がん検診を受けて見つかったがん患者と、症状が出てから医療機関を受診して見つかったがん患者では、症状が出てからの生存期間が同じだとしても、症状が出るまでの期間分、必ずがん検診で見つかった人のほうが生存期間が長いことになります。

 がん検診の効果を見積もるとき、がん検診に効果がまったくないとしても、がん検診で見つかったがんの人は生存期間が長いのです。このことはきちんと理解しておく必要があります。

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名郷直樹

名郷直樹

「武蔵国分寺公園クリニック」名誉院長、自治医大卒。東大薬学部非常勤講師、臨床研究適正評価教育機構理事。著書に「健康第一は間違っている」(筑摩選書)、「いずれくる死にそなえない」(生活の医療社)ほか多数。