残尿が続くと、尿道に一部存在する常在菌が正常な量を超えて繁殖し、膀胱炎、前立腺炎などの炎症を起こす。それが高じて腎臓にまで菌が広がり、腎盂炎を発症する。
「急性の前立腺炎や腎盂炎は、抗生物質で対処できない場合もあります。すると、敗血症を起こし、命を落とすケースもある。特に、残尿は中高年に多く見られるので、ほかの臓器にも問題を抱えている場合も多く、危険です」
■腎機能が障害されるケースも
残尿で膀胱がどんどん充満していくと、膀胱の圧力が高まり、腎臓に慢性的に逆圧がかかり、腎臓がパンパンに腫れた状態になる。腎臓の機能廃絶に陥り、最悪、腎不全で透析という結果に至ることもある。
「明らかな残尿感があれば手を打つかもしれませんが、それも軽いことが多く、残尿があることになかなか気がつかないのが問題。これまで、内科医の先生で腎臓が悪くなってしまったという方も何人か診てきました。専門家として知識のある医者ですら残尿に気づかず、腎不全になってしまうのです」