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【子宮筋腫の低侵襲手術】メディカルトピア草加病院・婦人科(埼玉県・草加)

メディカルトピア草加病院・婦人科の小堀宏之科長
メディカルトピア草加病院・婦人科の小堀宏之科長(C)日刊ゲンダイ
傷が目立たない婦人科内視鏡手術

 重い生理痛や月経(生理的出血)量の増加に悩まされている女性は多い。その原因には「子宮内膜症」や「子宮腺筋症」などの病気もあるが、最も多いのが「子宮筋腫」だ。筋肉でできた袋状の子宮の壁に良性腫瘍(筋腫)ができる病気で、30~40代に起こりやすい。

 同科は、これらの婦人科疾患に対する内視鏡を使った低侵襲手術(腹腔鏡手術や子宮鏡手術)では、首都圏でも有数の手術件数を誇る。常勤医のうち2人が日本産婦人科内視鏡学会・技術認定医だ。同科の小堀宏之科長が言う。

「子宮筋腫は30歳以上の女性の4~5人に1人の割合でみられますが、良性疾患なので症状がなければ様子を見てもいい病気です。ただし、妊娠を考えた場合、不妊や流産、早産の原因になります。薬物療法もありますが、薬の継続使用が6カ月までしか認められておらず、薬をやめると3カ月で元の状態に戻ってしまいます。根治するなら手術が必要です」

 子宮筋腫には3タイプある。子宮の内側の粘膜にできる「粘膜下筋腫」、子宮の壁の中にできる「筋層内筋腫」、子宮の外側にできる「漿膜下筋腫」。筋腫の大きさは1~20センチとさまざまで、1個の場合もあれば、複数できる場合もある。

 手術は、子宮ごと取ってしまう「子宮全摘術」と、筋腫だけを取る「筋腫核出術」がある。

「どちらの手術にするかは患者さんの希望になります。子供をつくる必要がなかったり、筋腫の数が多ければ全摘術の方がいい。妊娠を考えていたり、子供はいるけれども子宮を残したいというならば核出術になります」

■入院日数は開腹の2分の1

 この2つの手術をできる限り、侵襲の少ない内視鏡手術で行っているのが同科の特徴だ。内視鏡手術には、お腹に5~10ミリの穴を4カ所開けて行う「腹腔鏡手術」と、お腹は切らずに膣から内視鏡を入れて筋腫を取る「子宮鏡手術」がある。

「開腹手術か内視鏡手術かの選択は筋腫の大きさで決まります。15センチ以下であれば腹腔鏡でほとんど対応できます。子宮鏡の適応は粘膜下筋腫のみで、3センチ以下であれば行うことができます」

 お腹を12~13センチ切る開腹手術の入院日数は10~14日。比べて、傷の少ない腹腔鏡は1週間弱、子宮鏡では2泊3日と大幅に回復が早い。

 しかし、婦人科疾患で内視鏡手術を行う施設はまだ少ないのが現状。国内の産婦人科医で、日本産婦人科内視鏡学会の技術認定医の資格を持つ医師は5%ほどしかいないという。

「内視鏡手術はスムーズにできれば低侵襲ですが、ひとたび腸や尿管の損傷、大出血などの合併症が起きれば、非常に高侵襲になります。その分、執刀医の豊富な経験と安定した技術が必要なのです」

 同院がリニューアルオープンしてから、過去5年間の同科・内視鏡手術の実績は2000例以上に上る。合併症の発生は腸と尿管の軽い損傷が各1例。輸血を必要としたケースはなく、手術中に腹腔鏡から開腹に移行した症例はゼロという。

■データ
上尾中央医科グループの急性期病院(一般80床)。
◆スタッフ数=常勤医4人、非常勤医1人
◆年間初診患者数(2015年度)=1703人
◆年間手術総数(同)=621件(うち子宮筋腫の内視鏡手術393件)