年を取ったらクスリを見直せ

血糖値を下げる「SU薬」は加齢とともに見直す

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 糖尿病は、血糖値を下げるインスリンの作用が不足することで、血糖値が高くなる疾患です。遺伝、過食、運動不足、肥満、ストレスおよび加齢が加わり発症します。進行すると、腎臓への障害、神経への障害、失明の危険を伴うため、絶対に放置してはいけません。

 糖尿病の治療はさまざまですが、インスリンを分泌させて血糖値を下げる「SU薬」がよく使用されています。このSU薬の中で、グリベンクラミド、アセトヘキサミド、クロルプロパミドは、「低血糖を起こしやすいため、使用を控えることが望ましい」とされます。

 低血糖は、体内のエネルギー源であるブドウ糖が少なくなる危険な状態です。実際に、よく低血糖になるにもかかわらず、この危険な状態を軽視する方が多くいらっしゃいます。

 低血糖の初期は、あくびや強い空腹感が起こります。そして、血糖値が下がるにつれて手の震え、動悸などにより体は危険信号を発します。低血糖をたびたび起こす状態が続くと、死亡率が上昇するといった報告もあります。

 また、加齢とともに低血糖が起こりやすくなることもあります。「ずっと飲んでいる薬だから安心」なわけではありません。同じ薬を飲んでいる患者さんで、加齢によって低血糖の頻度が増えたため、薬を変更した事例もあります。

 低血糖が頻繁に起こる方は、薬の減量や変更を検討するようオススメします。もちろん、薬を急に中止すると、逆に高血糖を引き起こす危険があります。高血糖も、昏睡につながるといった命の危険もあるので、薬は勝手に中止しないようにしましょう。必ず、医師や薬剤師に相談してください。

中尾隆明

中尾隆明

1985年、愛媛県生まれ。愛媛県立南宇和高等学校を経て岡山大学薬学部を卒業。2008年からこやま薬局(岡山県)で管理薬剤師を務め、現在は企画運営部主任として各店舗のマネジメントを行っている。8月に著書「看護の現場ですぐに役立つ くすりの基本」(秀和システム)を発売。