「口腔がんには歯ぐきにできる歯肉がん、舌の下にできる口腔底がんなどがありますが、もっとも多いのが舌がんです。ところが口腔がんを積極的に見つけるための検診が行われていないため、単なる炎症と見られることが多く、発見が遅れる傾向があります。気が付いた時には手遅れのケースが少なくありません」(小林院長)
実際、日本は先進国のなかで唯一、口腔がんの死亡率が増えている国で、年間7000人以上が亡くなっているという。
そこで小林院長が力を入れているのが、「ベルスコープ」と呼ばれる口腔内粘膜の異常を観察する蛍光観察装置による口腔がん検診だ。米国の医療メーカーが開発したもので、米国やカナダで医療機器として承認され、日本では2008年から販売されているという。
「米国では1万施設以上の医療機関で口腔がんのスクリーニングとして使われ、有効性が認められています。日本では口腔がんの検診は医科でも積極的に行われていません。ならば、毎日のように口腔内をのぞいている歯科医が立ち上がるべきだと考え、患者さんに受診を呼びかけています」(小林院長)