あの話題の治療法 どうなった?

加齢黄斑変性に対する「光線力学療法」

(提供写真)

「加齢黄斑変性」は年齢とともに網膜の真ん中にある黄斑部に障害が生じ、視力の低下を引き起こす病気だ。60~70代に多く、高齢者の失明原因第1位として知られる。

 この病気は2種類ある。黄斑部がゆっくり萎縮する「萎縮型」と、網膜の真下に脈絡膜新生血管ができて黄斑部を障害する「滲出型」だ。萎縮型に対する治療法はないが、滲出型には「抗VEGF療法」と呼ばれる治療法がある。脈絡膜新生血管を鎮静化する薬を眼内に注射する方法で、2008年以降は主流となっている。

 それ以前は「光線力学療法(PDT)」と呼ばれるレーザー治療が盛んに行われていた。いまどうなっているのか?

「手軽さから抗VEGF療法による治療が増えているのは事実ですが、アレルギーのある人などはPDTでなければダメなケースもある。治療効果を高めるため、両者を併用する場合もあります」

 こう言うのは「眼科PDT研究会」(事務局=東京・丸の内)会員で、東京慈恵会医科大学病院・眼科の林孝彰准教授だ。では、どのような患者が「PDT」治療を選択したらいいのか。

「滲出型加齢黄斑変性は、大きく『典型』と『ポリープ型』に分かれます。最近の研究では、PDT治療はとくに脈絡膜が肥厚したポリープ型に効きやすいと考えられています。また、脈絡膜肥厚を伴う中心性漿液性脈絡網膜症に高い効果のあることがわかっています。しかし、中心性漿液性脈絡網膜症に対しては保険収載されていません」(林准教授)

 副作用はないのか?

「PDTに使用される『ビスダイン』という薬剤は、ポルフィリン症、肝障害、胆道閉塞を持つ方には使用できません。治療後は少なくとも48時間以内は皮膚や目に強い光が当たらないよう、注意することが重要です」

 なお、PDTの具体的な手順は次の通り。

①光に反応する薬剤「ビスダイン」を腕の静脈から点滴(約10分)する。

②その後、目に点眼(麻酔薬)し、特別なコンタクトレンズを装着した状態で病変部にレーザーを83秒間照射する。

 治療費用は一部保険が適用され、自己負担分は約11万円(3割負担の場合)だという。