命を脅かすことも…間違いだらけの「心不全治療」

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 だから主治医は、患者が難治性心不全の段階ではないかどうかを的確に判断しなくてはならない。その指標として、最も注意すべきポイントが「1年間に2回以上の心不全入院」だ。

「2回以上は尋常ではない。治療が行き詰まっている、つまり難治性心不全だと認識すべきです」

 ここまでに挙げた(1)~(3)について、「循環器内科医ならば知っているはず」と思うかもしれない。しかし、絹川教授は疑問を投げかける。

 たとえば、PCPSは地方では実施例が極端に少ない。強心薬を慢性的に投与されている患者もいる。1年間に2回以上心不全の入院を繰り返していても「このままでは命の危険がある」と医師がしっかり説明していないうえ、補助人工心臓を扱う病院がまだまだ少ない事情もあり、患者や家族は「では、様子を見ます」となってしまう。

「1年に2回以上の入院患者の場合、強心薬の治療だけでは1年間で半分ほど亡くなっています。一方、補助人工心臓で8割が生存している。この差は非常に大きい」

 正しい知識こそが、自分の身を守る。

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