背景にインフルエンザの合併症である「脳炎・脳症」がある。流行の規模により発生数は異なるが、1歳から5歳までの幼児を中心として毎年100~200人が発症し、約10~30%が死亡し、ほぼ同数の後遺症患者が出ていると推測されている。
現在、抗インフルエンザ薬には内服薬の「タミフル」、吸入薬の「リレンザ」と「イナビル」、注射薬の「ラピアクタ」がある。効果には大差がなく、発症48時間以内に使えば90%の人は熱が下がるといわれているが、1歳未満にはラピアクタ以外認められていない。
「静脈ラインの確保が必要なラピアクタの使用は基本的に重症ケースに対して行われます。乳児は自力で吸入できないので吸入薬は使えません。軽症~中等症では内服薬のタミフルが使いやすいのです。日本ではタミフルの乳児への処方の国内臨床試験の結果はありません。しかし、厚労省の依頼で当会が行ったタミフルの乳児に対する使用実態調査でも問題はありませんでした。海外では乳児にもタミフル使用は奨励されています」(堤教授)