しかも、乳児は血液脳関門が成熟しておらず、薬が脳に移行する可能性を完全に否定しきれないのではないか、との心配もある。本当に日本で適用してよいのか?
「効能に明らかな人種差はないと考えられており、欧米で実績があるので問題ないと思います。そもそも1歳の幼児と生後11カ月の乳児とでは薬の吸収・分布・代謝・排泄に大きな違いはありません。日本でも、これまで少数例ですが幼児に投与して問題がなかったことが今回確認されました。今回、タミフル投与が必要と判断された乳児に対して、投与の道が開けたことは良かったと思います」(堤教授)
母体からの移行抗体の存在や、感染の機会があまり多くないことで、乳児期前半はインフルエンザにかかりにくい。その意味では乳児でタミフルが必要となるケースはそれほど多くないという。
「更に乳児に対して、タミフルは医師がインフルエンザと診断した後に、両親と相談の上で慎重に投与されることになります」(堤教授)