医者も知らない医学の新常識

膀胱炎には夜のクランベリージュースが効く

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 尿が細菌による感染を起こして、おしっこが近くなったり、排尿時に痛みが起こる尿路感染症の「膀胱炎」は特に女性に多い病気です。その多くは大腸菌などによる細菌感染症ですから、抗生物質がよく効きます。しかし、再発しやすいのが特徴で、そのたびに抗生物質を使うことは煩わしいことです。なにより抗生物質を頻回に使用することで、「耐性菌」という、抗生物質が効かないような、たちの悪い細菌が出現する危険も問題視されています。

 それでは、薬を使用しないで膀胱炎を予防する方法はないのでしょうか? 欧米で以前から試みられている方法は、夜にクランベリージュースを飲むことです。クランベリーというのはブドウに似た果実で、ジュースやドライフルーツとして使用されています。そこに含まれている「A型プロアントシアニジン」という物質には、大腸菌が膀胱の内側に付着することを妨害する作用があります。このため、膀胱炎の予防に有効だと考えられているのです。

 これまでの科学的な研究でも、「4割くらい膀胱炎が減った」という報告が発表されています。ただ、有効とされる物質をカプセルにして使用した最新の論文では、その効果は確認されませんでした。

 ということでクランベリーの効果は確実とは言えないのですが、1日1杯くらいのクランベリージュースを飲むことは、大きな害もなく悪い習慣ではないと思います。

石原藤樹

石原藤樹

信州大学医学部医学会大学院卒。同大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科研修を経て、1998年より「六号通り診療所」所長を務めた。日本プライマリ・ケア学会会員。日本医師会認定産業医・同認定スポーツ医。糖尿病協会療養指導医。