この20年間、思いつく限りの保存療法はすべてやった。治療のため通院した病院も数え切れない。
時々、痛み止めの注射を打つ。だが、一時しのぎで、足を少し折り曲げただけでも、激痛が走ることには変わりがない。
なぜ、こんなことになってしまったのか。思いあぐねるだけで年を重ねてきた高橋さんだったが、11月に入り、ついに年明けの手術を決断した。人工関節手術を受けるという。
「キッカケは、主人から強い口調で『人工関節の手術を受けてみろ』と執拗に勧められたからです。正直言って、心の底では『膝の具合が悪いなんて大したことではない』と思っていました。だから、サプリメントやせいぜい町のお医者さんにしかアドバイスを求めなかったのです。ところが、このままでは車イスの生活になることが避けられない。主人にも迷惑をかけることになる。やるなら今しかないという気持ちにさせられたのです」
ドキュメント「国民病」