橋本テツヤの快適老齢術

「生活不活発病」に気をつけろ!

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 ある会合で「うちのカミサン、ゴミ出しをしないと怒るし、食事の後片付けをしないと機嫌が悪くなるのですよ。これって典型的な悪妻ですよね」と団塊世代の男が話しかけてきた。自分の妻が「悪妻」であることに同調してほしかったのだろうが、僕は「奥さんは悪妻どころか良妻です」と答えた。

 意に反する答えに彼は不満顔だったが、「もし奥さんに先立たれたら、あなたは家事ができますか?」とこう問いかけると、まったくできないと言う。彼の妻は自分がいなくなったら困るだろうと、家事を学ばせようとしたのだ。こうした妻こそが「良妻」といえる。「生活不活発病」というのがある。家庭の中で動かない状態が続くことで、心身の機能が低下して本当に動けなくなるというものだ。だから自分でできることは自分でやる。面倒だと思うことも積極的にやる.そうすることで健康な体を維持することができる。

 家事を一切やらない中高年の中には、食器の洗い方も知らない人がいる。食器に洗濯洗剤を大量にかけて、台所を泡だらけにした人もいた。高齢者の「独居世帯」が増えているが、男の一人暮らしは近所付き合いもなく、缶チューハイにコンビニ弁当を食べながらテレビに向かって会話している。僕はそんな生活はしたくないので、日々、洗濯、掃除、料理を積極的にやっている。料理は食材の買い出しが面倒だが、スーパーに行くと何が安いのか、何が売れているのか一目瞭然。社会勉強にもなる。調理は下ごしらえ、味付け、盛り付けまで段取りを考えなければならない。これが脳の若返りに役立つ。立って調理をすることで下半身の筋力も衰えない。自分で作った料理をおいしく食べて幸せを感じることは、人生を若々しく過ごす秘訣でもある。

 妻を亡くした70歳の知人男性が「若い女と再婚しようと思っている」と軽口を叩いた。家事ができない男に限って後妻をもらうことを考えるが、世の中甘くない。高齢でも資産家なら若い嫁の来てもあるだろうが、そうでなければ難しい。若い女を欲する気持ちはわかるが、それなら料理教室に通って、教室で知り合った女性たちにおいしいものを作ってやったほうが現実的だ。それをきっかけに若い女と仲良くなれたら、その女を“試食”すればいい。試食したら「良い味でした。ごちそうさま」と感想を述べる。そうすればまた試食させてくれる。僕は調理師免許を持っている。料理のできる男は女にもてるのである。

橋本テツヤ

橋本テツヤ

ジャーナリスト、コラムニスト、メンタルケア心理士、肥満予防健康管理士。著書多数。近著に「昭和ヒット曲全147曲の真実」(KADOKAWA)がある。全国各地で講演活動も精力的に展開中。