ドキュメント「国民病」

【うつ病】眠れない日に子供時代の嫌な記憶を思い出した

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 事業の拡大に向け奔走していた最中に父親が病死。付き合っている彼女との間で結婚の話も進行していたが、「何か、眠れない日が続くようになったのです」という。

 不眠症は「うつ病」を予見するシグナルのひとつである。眠れない日は決まって子供時代を思い出すようになり、小学時代や中学時代、担任の先生に殴られた記憶が蘇った。

「なぜあの時、先生に反抗し、殴り返さなかったのか」――。悔しくて仕方がなくなって興奮し、ため息をついたまま朝方まで眠れない。翌日、目を真っ赤にして会社に顔を出すものの、頭がボーッとして仕事に身が入らなかった。

■何も食べなくてもお腹が食欲がわかない

 2週間ほど不眠状態が続いていたある日、朝方、ネクタイを締めようとしたところ、なぜか面倒くさくなってしまう。外は土砂降りの雨。越川さんは会社に「体の調子が悪いから今日は休む」と連絡をした。朝から何も食べていないが、お腹はすかない。まったく食欲がわかなかった。

2 / 3 ページ