ドキュメント「国民病」

【うつ病】眠れない日に子供時代の嫌な記憶を思い出した

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 欠勤が10日ほど続いたころ、訪ねてきた彼女が開口一番、「何よこれ? 部屋が汚い!」と驚きの声を上げた。

 越川さんは、奇麗好きできちょうめんなタイプで、部屋の掃除を毎日欠かさない。洗濯物をためるようなこともなかった。それが、部屋はホコリだらけ。無精ひげを生やし、汚れた下着やパジャマを部屋中に散らかしていた。

 彼女との会話にも笑顔はなく、何を問いかけても生返事。いつも冗談を言って笑わせてくれた越川さんの異変に気付いた彼女から、「あなた、少しどこかおかしいわよ。病院に行ったらどうなの?」とアドバイスされた。

「男性の更年期障害だよ。心配ない!」

 そう答えた越川さんに、「うつ病」という出口が見えない迷路の門扉が開いた――。

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