天皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」

心臓に負担大 「ゴルフの突然死」を防ぐ

順天堂大学の天野篤教授(C)日刊ゲンダイ

 私は、自分が手術を行って元気になった患者さんたちと定期的にゴルフをしています。一緒にラウンドすることで、その患者さんがどれだけ回復したのかを確認することができますし、何より気心の知れた仲間のサークルのような感覚で楽しんでいます。

 一般的に、ゴルフは心臓に大きな負担がかかるスポーツだといわれています。ある調査によると、プレーしている最中に突然死した人は年間200人前後と推計されています。とりわけ「40歳以上」で突然死を起こしたスポーツはゴルフが圧倒的に多く、原因は心筋梗塞などの心臓疾患が86%を占めていました。

 この数字だけを見ると、ゴルフは危険なスポーツだと思われるかもしれませんが、必ずしもそういうわけではありません。中高年になると、高血圧、高血糖、高コレステロールといった生活習慣病を抱え、突然死を招くリスクが高い人が増えていきます。ゴルフは、そうした中高年世代の人口が多いので、それだけ相対的に突然死するケースが増えるということでしょう。

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天野篤

天野篤

1955年、埼玉県蓮田市生まれ。日本大学医学部卒業後、亀田総合病院(千葉県鴨川市)や新東京病院(千葉県松戸市)などで数多くの手術症例を重ね、02年に現職に就任。これまでに執刀した手術は6500例を超え、98%以上の成功率を収めている。12年2月、東京大学と順天堂大の合同チームで天皇陛下の冠動脈バイパス手術を執刀した。近著に「天職」(プレジデント社)、「100年を生きる 心臓との付き合い方」(講談社ビーシー)、「若さは心臓から築く 新型コロナ時代の100年人生の迎え方」(講談社ビーシー)がある。