こうした質問が20問ほど続き、越川さんはすべてに「はい」と答えた。
「越川さんは立派な『うつ病』にかかっています」
担当医はそう診断し、さらに付け加えた。
「なぜ、うつ病にかかったかなどと原因を追究しても無駄なことです。それよりも、うつ病から抜け出す努力をしてください。精神的にも肉体的にも、元に戻るまで数年ぐらいかかると覚悟してくださいね」
診察料は3割負担で約6000円で、「抗うつ剤」を処方された。
現在は抗うつ剤の医薬研究が進み、「ベンラファキシン」(商品名イフェクサーSR)といった有効な薬も登場している。
「でも、私が処方された医薬品は名前も忘れましたけど、精神安定剤のようなものだったでしょうか。同じ病院にその後2度ほど薬をもらいに行きましたが、面倒になってやめてしまいました」
ドキュメント「国民病」