あの話題の治療法 どうなった?

「病腎移植」の是非 機運が高まれば否定しないが…

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 しかし、年間約1600件の腎臓移植の8割程度は家族からで、非血縁者の提供による腎臓移植の幸運に恵まれた患者は、200例ほどしかない。

 自らの保険証に「臓器提供」と明記している東京慈恵会医科大学の腎臓・高血圧内科助教の山本泉氏は言う。

「毎年5000円を支払いながら、腎臓移植の順番が回ってくるまで15年近くかかってしまいます。ドナー不足の問題もあるのですが、腎臓移植などの学会で何か打開策はないかとよく話し合われているテーマです」

 米国の腎臓移植は年間1万7000例ともいわれるが、日本はなぜこれほど手術例が少ないのか。

 山本助教によると、理由のひとつに「現場の問題」があるという。脳死判定に少なくとも2人の医師が必要なうえ、すぐに腎臓移植の手術に取り掛かるにしても、多くの医師を待機させなければならない。それだけ現場の負担が大きく、日本の場合、その医療整備がまだ不十分であるという。

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