看護師直伝 がん治療と笑顔で付き合う

身元が分からない…救急搬送のための準備してますか?

 肺炎、脳・心血管疾患、路面の凍結による転倒などを起こしやすい冬は、救急搬送が増える季節。がんとは少し離れますが、今回は救急搬送された時に困らない「準備」についてお話ししたいと思います。

 健康づくりのために、ウオーキングやランニングなどをしている人は少なくないでしょう。そんな時、“自分”について分かる何かを身に着けていますか?

 ここ最近も経験したことですが、私が勤務する病院へ救急搬送された方の身元が分からないことが何度かありました。

 服装から想像するに、家の近所をウオーキングしていた途中。できるだけ身軽に運動をしたいと考えたのでしょう。携帯電話や財布は持っておらず、転倒で意識がもうろうとしていたため、自宅の電話番号をなかなか思い出せませんでした。

 また、別の方は携帯電話を自宅に置いて出てきたため、家族の電話番号が一切分からず、勤め先の会社名や住所もあいまい。連絡をどこにもつけられず途方に暮れていたところ、入院歴のある病院をようやく思い出し、そこの病院に事情を話して家族の連絡先を知ることができました。

 病状によっては会話が難しい場合もあります。認知症などを患っているようであれば、連絡先や持病の特定は難渋します。がんをはじめ、何らかの病気の治療中あるいは治療後であれば、その病気の情報が必要な場合もあります。ところが、家族と一緒であっても、患者さんが日頃服用している薬や病気治療の経緯などが分からず、往生することもあるのです。

 すべての情報を持ち歩くのは難しいにしても、自分についての情報をまとめたものを常に携帯することはとても重要です。救急搬送のリスクが高くなる高齢者であれば、なおさらです。