数字が語る医療の真実

がん検診を自ら進んで受ける人は「もともと健康」だ

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 がん検診で見つかったがんは、がん検診による早期発見や早期治療の効果がまったくないとしても、早く見つかった分だけ“見かけ上がんの死亡率が下がる”ということを説明してきました。

 こうした因子に加え、さらにがん検診で見つかったがん患者の生存率を延ばす要素があります。それは「がん検診を受ける人たちは受けない人たちよりも、もともと健康度が高いうえ、より健康に気を配っている」ということです。

 がん検診そのものによるがん死亡の予防効果はなくとも、もともと健康な人であればがんで死ぬ可能性は低く、そのうえ検診以外にも健康に気を配っている分、がんで死ぬ危険性が低い面があるのです。

 がん検診を自ら進んで受ける人たちと、誰かに言われて無理やり受けさせられる人でも、がんの死亡率は異なるでしょう。おそらく、前者は死亡率が低いことが予想されます。どちらもがん検診を受けているわけですから、がん検診によって死亡率に違いがあるわけではなく、「がん検診以外のところ」に死亡率の違いの原因があります。

 がんの死亡を減らす要因はがん検診以外にもたくさんあり、その影響を除かなければ「真のがん検診の効果」は検討できません。「がん検診を受けた人でがんの死亡率が低い」と言うためには、がん検診以外の影響する因子を制御しない限り、そう結論することはできないのです。

名郷直樹

「CMECジャーナルクラブ」編集長。東大薬学部非常勤講師。東大医学教育国際協力研究センター学外客員研究員、臨床研究適正評価教育機構理事)自治医科大卒。名古屋第二赤十字病院にて研修後、作手村国民健康保険診療所にてへき地診療所医療に携わる。95年同診療所所長。05年東京北社会保険病院臨床研修センター長。「『健康第一』は間違っている」などの著書がある。