以前、大統領選によるストレスを感じている人が52%もいると当連載で書きました。選挙当日、ウエアラブルデバイス・メーカーのスパイアが実際にユーザー3000人のストレスを計測したところ、トランプ当選の結果が出た瞬間、ストレスレベルは通常の1.5倍に跳ね上がったとのことです。
また、この夜、アメリカ版命の電話「自殺防止ホットライン」には通常の2.5倍という記録的な電話が寄せられたと発表されています。
選挙直後、多くがヒラリー候補を支持した全米の大学生たちのショックが報じられました。イエール大学では学生たちが教授に対し試験を中止するよう求めたり、コーネル大学の学生は集まって「クライ・イン=嘆き悲しむ会」を行いました。大学側もカウンセリングを行うなどして対応。カリフォルニア州立大学では「ヒーリング・ルーム」を設け、学生たちがショックや不安を語り合う場を用意しました。
ニューヨークでは地下鉄駅の構内などで、市民がそれぞれの思いを付箋に書いて壁に貼る動きが見られました。
俳優ロバート・デ・ニーロは「まるで9・11の直後のような気持ち」、人気コメディアンのサラ・シルバーマンは「多くの人が大恐慌並みに落ち込んでいる」などと発言。
雑誌「ハリウッド・リポーター」は、セレブリティー・クライアントを持つセラピストに取材し、「多くのクライアントが不安や落ち込みを体験。これはトラウマ(心的外傷)に当たる」「今後もパニック発作症状などが発生する恐れがある」などのコメントを掲載しています。
投票から時間が経っても、マイノリティーやLGBT(レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー)に対するヘイト・クライムへの恐れや次期政権への不安は解消せず、ストレスやトラウマがいつ解消されるのかわからない状況です。
ニューヨークからお届けします。