自分の健康の不調をすべて加齢のせいにする人がいる。物忘れをしたり視力が低下したり、性欲が衰えれば「もうトシだから仕方ない」と言い、風邪をひいて長引けば「やはりトシだなぁ」と言う。こうした年齢のせいにする「思い込み」は老いに拍車をかけることになる。だから僕は一切こうした考え方は持たない。
テレビの「健康バラエティー番組」が増えている。タレントの健康状態を調べて、数人の医師がもっともらしく診断をするといった番組だ。血圧が高めのタレントがいれば、脳梗塞や心筋梗塞の疑いがあると脅かす。視聴者は、自分は大丈夫だろうかと心配する。しかし人間の体は一人一人違う。ひとりのタレントの血圧情報を単純化して、病気にかかるリスクを大げさに発言する医師を僕は信用しない。
多くの患者を抱えている医師は休む間もなく忙しい。テレビのバラエティー番組に出る医師はよっぽどヒマなのだろう。社会的集団に対して固定的なイメージを持つ「ステレオタイプ」という心理学用語がある。例えば「あの人は医師だから頭が良くて優れている」「テレビに出ているから嘘はつかないだろう」というような先入観や思い込みだ。僕はそうしたことにも惑わされないようにしている。
橋本テツヤの快適老齢術