Dr.中川のみんなで越えるがんの壁

片岡鶴太郎さん報道で考えた がんリスクが最も高いのは?

片岡鶴太郎さん(C)日刊ゲンダイ

 国立がん研究センターの調査によると、やせの影響は女性より男性の方が強く、BMI23以上25未満のグループを1とすると、体重が少ないほどがんの相対リスクは増えていて、「19未満」は1.4。この数値は、「30以上40未満」とかなり肥満の人の1.2をも上回るのです。

■ベストは小太り

 男性でがんの相対リスクが最も低いのは「25以上27未満」で0.9。データの上では、やせているよりも小太りの方ががんになりにくいことが見て取れます。

 中高年35万人を追跡した調査でも同様の結果です。男性の場合、がんを含めた全死因の死亡率が最も少ないBMIは「25以上27未満」。最も多いのはやせ過ぎの「19未満」で、がんを含む全死亡率が8割以上高くなっていました。

 もうひとつは食事です。鶴太郎さんは大量のフルーツと手作りの総菜を2時間かけて食べるそうです。1日1食。患者さんとお話ししていると、がんと分かった途端、肉を一切食べなくなり、玄米菜食を貫くということを耳にします。

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中川恵一

中川恵一

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。