看護師直伝 がん治療と笑顔で付き合う

「病院ボランティア」の存在を知ってほしい

 がん治療に欠かせないサポーターとして、ボランティアの存在があります。皆さんのかかりつけの病院にはボランティアの方はいらっしゃいますか?

 私自身、高校生の頃に地元の総合病院でボランティアをしていた経験があります。具体的には、エレベーター前に立って場所の案内をしたり、車イスの方の手助けをしたり、受診する子どもたちのために折り紙でキャラクターを折ったりしていました。

 病院ボランティアといっても、今ではその活動範囲は多岐にわたっています。その名の通り、ボランティアなので無償で活動をしているわけですが、車イスの介助方法や、院内の感染予防について基本的なことを学ぶボランティア研修の受講が条件となっている場合もあり、多くの病院でボランティア養成のための研修を開催しています。

 ボランティアの中には、がんサバイバーの方やがん患者さんのご遺族も多くいらっしゃって、ご自身の経験を生かして活動しています。また、患者さんやご家族の話に耳を傾けることを専門にしている傾聴ボランティアの方も多くいらっしゃいます。

 がんだけではありませんが、病気になると弱気になったり、誰かに話を聞いてもらったりしたいとしばしば思います。それは専門的な内容だけではなく、たわいもない日常の出来事だったりグチだったりします。

 もちろん、ケアの担い手として看護師も傾聴をする機会はありますが、医療者ではないからこそ、ボランティアが相手だからこそ、話せる内容は少なくないでしょう。ぜひボランティアの存在を知り、活用してほしいと思います。

 一方で、ボランティアというと苦手意識がある方もいるかもしれませんが、思いやりの心があれば、どこでも誰にでもできると私は思っています。ちょっとした思いやりが、その人を大きく支えることもあります。そうしたつながりが広がっていくと素晴らしいと考えています。