ドキュメント「国民病」

【糖尿病】部下の手前、酒はやめたと言えなかった

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 投薬治療を始めてから5年、10年過ぎてもHbA1cや血糖値の数値が変わらない。

 数値は高止まりのまま、やがて藤田さんは60歳の定年を迎えた。主治医から、「藤田さん、食事療法は、全然守っていないでしょう? 会社を退職したのだから、食事療法や、また『運動療法』も実行してください。糖尿病を甘く見ていると最悪、失明や壊疽になりますよ」と、脅かされてしまう。

 定年後、自宅で趣味の木工細工に精を出しながら、1日3食、妻の食事管理で野菜中心の食生活に切り替えた。さらに運動療法にも着手しようとしたが、ジョギングやマラソンは苦手である。自宅から車で15分という農家の畑を100坪(約300平方メートル)借り、体を動かす目的で野菜作りを始めた。

 およそ2年間で体重が73キロに落ち、HbA1cの数値が7.2まで下がった。酒の量も減らしている。

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