受診までの「応急処置」

【鼻水】着色や粘り気は白血球や細菌の死骸が原因

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 鼻の中の粘膜は常に粘液によって湿った状態が保たれている。そこにバイ菌などの異物が侵入、付着すると、体外へ排出しようとして自動的に粘液が大量に分泌される。それが「鼻水(鼻汁)」が出るメカニズムだ。

 耳鼻咽喉科・日本橋大河原クリニック(東京)の大河原大次院長は、「ひと言で“鼻水”といっても、主に次の3つのタイプがある」と言う。①透明でサラサラした水のような鼻水②透明だけど粘りのある鼻汁③緑色や黄色をした粘り気の強い鼻汁だ。

「①は花粉症などのアレルギー性鼻炎で出る鼻水。②はかぜの初期に出る鼻汁。③はかぜをこじらせたり、もしくは副鼻腔炎(蓄膿症)になったときに出る鼻汁です。タイプによって対処が違ってくるので、意識して見分けることが大切です」

 鼻水を止める応急処置は、とりあえず市販薬を飲んでみる。水のような鼻水ならアレルギー性鼻炎の薬。透明で粘りがあるようなら総合感冒薬(かぜ薬)を選ぶ。緑色や黄色の鼻汁は細菌感染による炎症が強いので、市販薬を使うより早めに受診した方がいいという。

 鼻汁に色がついたり、粘り気が強いのは、細菌と闘う白血球や細菌の死骸などの老廃物が含まれるからだ。

「いずれにしても鼻はフィルターの役目をしているので、こまめに鼻をかむことが重要です。鼻水がたまっていると細菌の巣となり、汚れた空気がよどむので炎症を起こしやすい悪循環になる。口呼吸になると、喉から細菌感染して咽頭炎やかぜ、インフルエンザなどの原因にもなります」

■「片方ずつ」が正しいかみ方

 鼻のかみ方も、意外と正しいかみ方ができてない人が多い。両方の鼻の穴を同時に押さえてかむのではなく、必ず片方ずつ押さえて、交互にかむ。そうしないとかんだときに鼻と耳をつなぐ「耳管」を通じて圧力がかかり、中耳炎の原因になる場合があるという。鼻をかまずに「鼻すすり」をするのも要注意だ。

「鼻すすりをすると細菌を含んだ鼻汁が耳管を通って中耳へ流れ込むので、これも中耳炎の原因になります。特に子供は、鼻すすりをする子としない子では中耳炎の発症率が全然違います」

 それと、もうひとつ注意したいのは鼻毛処理。最近は清潔志向が行き過ぎて、男性でも鼻毛を全部抜いてしまう人がいる。鼻毛も異物除去のフィルターの一部なのであまり切り過ぎると異物が鼻の粘膜に付着しやすく、鼻水が出やすい状態になってしまうという。