「酒好きの私は、毎日のように生ビール2~3杯、日本酒3~4本を飲み、夜食にラーメンと餃子、瓶ビール1本が長年の定番でした。もうそれだけで1日分の1800キロカロリーを摂取したことになります。これをやめろというなら、人間やめろと宣告されたのと同じです」
藤田さんは、糖尿病の飲み薬こそ服用したが、主治医と約束した「食事療法」は無視したという。
守れなかった理由はもう一つあった。藤田さんは、自宅に妻と大学に通う息子を残し、関東圏の工場に単身赴任中だったのだ。一応、主治医からもらった食品カロリー表を社員寮の冷蔵庫のドアに張り付けてはいた。だが、ひとりで暮らす藤田さんが作る朝食や夕食は適当だったし、社員食堂の昼食も糖尿病患者に向いていない。
「主治医から、『そんなときは、ご飯を半分残してください』と言われましたが、とても守れません。酒も少なめにというアドバイスも、部下との酒席では実践できませんでした」
ドキュメント「国民病」