飲み方と食べ方にコツ 忘年会の“血糖値スパイク”こう防ぐ

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 忘年会は今がピーク。仕事の合間を縫って「今日で3回目」「今年の忘年会はあと2回」という人もいるだろうが、血糖値スパイクに気をつけた方がいい。糖尿病を発症させたり、老化が早まるばかりでなく、心筋梗塞や脳梗塞などによる突然死の危険を高める。糖尿病専門医で「AGE牧田クリニック」(東京・銀座)の牧田善二院長に聞いた。

「忘年会などの酒席には、ただでさえ血糖を上げやすいお酒や食べ物がたくさんあります。ここぞとばかりに飲食すると、糖分を大量かつ一遍に体内に吸収することになり、血糖値スパイクが起きやすくなります」

 血糖値スパイクとは食後の短時間に血糖値が急上昇し、やがて正常値に戻ることをいう。糖尿病の人に見られる現象だが、最近の研究では一見糖尿病でない人の中にも同じような現象が起きていることがわかったという。空腹時血糖値だけを調べる通常の健康診断では見つからないためで、日本人の1400万人以上に血糖値スパイクが生じているともいわれる。

「血糖値スパイクが怖いのは、放っておくと本格的な糖尿病を発症するだけでなく、心筋梗塞や脳梗塞、認知症などの引き金となる動脈硬化を起こすことです。血糖値の急上昇・急降下を繰り返すと、血管の内壁の細胞から有害物質である活性酸素が大量に発生します。それが血管の内壁を傷つけ、修復するために集まった免疫細胞が血管の内壁に潜り込んで血管を硬く、狭くするのです」

 動脈硬化は血管の老化だ。それが進むというのは、それだけ早く老けることでもある。

「動脈は心臓から送り出される血液とともに、酸素や栄養を全身に運ぶパイプの役割を担っています。しかも、動脈自ら収縮や弛緩することで、血液がスムーズに流れるよう手助けをしています。ところが、動脈の弾力性が失われ、血管内が狭くなると血液が流れにくくなり、全身の細胞が酸素不足・栄養不足となって衰えていくのです」

■いかに糖質をゆっくり少しずつ腸に入れるか

 では、忘年会ではどんなことに気をつければいいのか?

「お酒はできたらワインや焼酎を選びましょう。血糖値を下げてくれます。日本酒や紹興酒などには糖質が含まれているので極力控えましょう。危険なのはジュースなどで割ったサワーやカクテル。糖分が多く、避けた方が無難です」

 お酒を飲み過ぎると、肝臓に脂肪がたまり、インスリンの効き目が悪くなる。結果、血糖値スパイクにつながる。

 おつまみは、おかきやチーズ類などは血糖を上げるが、食べ物で特に気をつけたいのが、お好み焼き。特に専用ソースには糖質が多く入っている。頭に入れておこう。

「血糖値を抑えるのに重要なのは、いかに糖質をゆっくり少しずつ腸に入れるかです。そのためには食べる順番が大切。野菜や肉を先に食べるようにして、糖質の多いものは後から食べるようにしましょう」

 また、“今日は忘年会でしっかり食べるから”と朝食や昼食を抜くのもダメ。ドカ食いにつながる。食べ方もちびちび食べるのがいい。寝不足、ストレスを抱えたままだと、インスリンの出や効き目が悪くなり、血糖値スパイクが起きやすくなる。忘年会にはしっかり寝て、仕事の憂いをなくして出席することに努めるべきだ。

「ひとつの所に座り続けてお酒を飲むのもよくありません。おしゃくをするなど、体をちょこちょこ動かして、胃腸に集まった血液を分散させることが、結果的に血糖値の上昇を抑えることにつながるのです」

 あくまでも忘年会はおしゃべりを楽しむもの。過度の飲食は慎むことだ。

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