オグリキャップは、デビュー時の馬体重が450キロそこそこで、成長して軌道に乗ったころは480キロ前後でした。その後も徐々に馬体重が増えていき、精彩を欠いた当時は500キロに届いていました。この馬体重の増加が、心房細動を引き起こしていた可能性があるのです。
心房細動は不整脈のひとつで、心臓が細かく不規則に収縮を繰り返し、動悸や息切れなどの症状が出ます。人間だけでなく、馬などの脊椎動物にも見られる病気で、中央競馬では年間で平均30頭前後が心房細動を発症しています。
馬の心臓は、心房の大きさが3歳時だと5センチほどで、馬体が大きくなると心臓も大きくなり、心房も6センチ程度になります。心房が6センチになると、「リエントリー」と呼ばれる正常の電気回路とは別の電気の旋回が生じ、ほぼ大多数が心房細動を起こします。心房細動に移行すると心拍出量が2割落ちるため、当然、運動能力は衰えます。
天皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」