役に立つオモシロ医学論文

“アイスクリーム頭痛”はゆっくり食べると避けられるの?

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 アイスクリームを食べているときに、「キーン」とするような鋭い頭痛を感じた経験はないでしょうか。

 これは「アイスクリーム頭痛」と呼ばれるものです。経験的には、アイスを急いで食べているときに頭痛を感じやすくなるように思えますが、ゆっくり食べればアイスクリーム頭痛を予防することができるものなのでしょうか。

 少し古い報告ですが、2002年12月21日付の英国医師会誌に「アイスクリーム頭痛」に関する論文が掲載されました。なんとこの論文の著者は、当時中学生だったそうですから驚きです。ちなみに、研究の財政支援は著者のご両親が無制限に行ったと記載されています。

 この研究では、カナダの中学生145人を対象に、アイスクリーム100ミリリットルを30秒以上で食べるよう指示したグループ(72人)と、5秒以内で食べるよう指示したグループ(73人)にランダムに分けています。

 この2つのグループを比較して、アイスクリームを食べて5~10分後に自己報告されたアイスクリーム頭痛の発生率や持続時間を検討しています。

 その結果、アイスクリーム頭痛の発生率は5秒以内で食べるよう指示されたグループで27%、30秒以上かけて食べるよう指示されたグループでは13%でした。この発生率を比較したところ、アイスクリームを急いで食べると2.2倍、統計学的にも有意に頭痛の頻度が多いことが示されました。

 ゆっくり食べた方が頭痛は起きにくいといえるかもしれませんが、それでも約1割の人が頭痛を感じているようです。また、報告された29件の頭痛のうち、59%は10秒未満の頭痛でした。多くのアイスクリーム頭痛は一時的な症状といえるでしょう。

青島周一

青島周一

2004年城西大学薬学部卒。保険薬局勤務を経て12年9月より中野病院(栃木県栃木市)に勤務。“薬剤師によるEBM(科学的エビデンスに基づく医療)スタイル診療支援”の確立を目指し、その実践記録を自身のブログ「薬剤師の地域医療日誌」などに書き留めている。