あの話題の治療法 どうなった?

画期的治療法と日本導入 「PPH」による痔の手術は今

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

「痔」は3人に1人が悩む国民病のひとつ。かつての手術は「痛い!」「怖い!」が定説だったが、十数年前に画期的な治療法が日本に導入された。特殊な自動縫合装置で痔核を治すPPH(自動縫合器による直腸粘膜切除術)で、2008年には先進医療から公的保険が適用された。

 この治療法は痔を直接切除しないため、メスやハサミを使う従来の痔核根治手術に比べて痛みが少なく、手術時間も20分足らずと短い。1週間から10日間必要だった入院期間も短縮できるようになった。

 ところが当時、保険が認めたPPHの治療費は6万3900円。患者側にとってはありがたい金額だが、病院側は手術に必要な5万円近い自動縫合器の費用を負担せざるを得ず、一部の医師の間では「保険適用とともにダメになるのでは?」といわれていた。今どうなっているのか?

「特別ブームになっているわけでも廃れてもいません。痔の手術で施術数の多い順番でいうと第1位が『痔核根治手術』、2位『内痔核硬化療法』(ジオン注射)、そして3位が『PPH法』でしょうか」

 こう言うのは、痔の手術の名手として名高い「辻仲病院柏の葉」(千葉県柏市)の浜畑幸弘院長だ。

 実はその後の診療報酬改定で、保険が認めたPPHの治療費は6万3900円から11万2600円に値上げされた。おかげで、使い捨ての自動縫合器の費用を負担しても、病院側は十分利益を出せるようになり、治療法のひとつとして定着したという。患者側もその他の費用を含め、1割負担の人で1万~2万円程度の自己負担だ。

「2位の『内痔核硬化療法』は痔核の周囲に薬液を注射し痔核を消滅させる治療法で、手軽だということで人気がありますが、大きい痔核には向きません。その意味で、PPH法を希望する患者様はいます」

 ただし、PPH法は、どの痔核疾患者にも適応される手術ではない。痔核の大きさが異なると、PPH法の適用が少し難しい。しかも、手術中に薄い腸の壁を傷つける危険性があるので、注意が必要だそうだ。