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平均寿命の違いをあぶりだすには市町村レベルで見てみる

市町村レベルでは10歳違う(上は長野県松川村)/(提供写真)

 住民健診やがん検診、各種予防接種や老人介護サービスの中身などが、自治体によって異なっているという現実もあります。住民の保健衛生や介護福祉の実施主体は「市区町村」と決められているからです。住民の年齢構成、病院・診療所や介護施設の数などにも、大きな差があります。そうした違いが総合的に合わさって、平均寿命や健康寿命、生活習慣病の罹患率などに影響していると考えられるのです。

 平均寿命に関しては、男性の最長は長野県松川村の82.2歳、最短は大阪市西成区の72.4歳です。その差は実に9.8歳にも達しています。郡部(町村)は人口が少ないため、平均寿命の計算に誤差が生じやすいといわれています。しかし、男性の2位は川崎市宮前区と横浜市都筑区の82.1歳です。つまり大都市圏で比べても、男性の平均寿命には最大10歳近い開きがあるのです。

 なお、女性の最長は沖縄県北中城村の89.0歳、最短はやはり西成区の83.8歳となっています。ただし都市部で見ると、福岡県太宰府市(88.3歳)や東京都杉並区(88.2歳)が最長です。

 今回の連載では、都道府県レベルでは気づかなかった健康上のさまざまな格差を、市区町村レベルで見ていくことにします。

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永田宏

永田宏

筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。