感染症対策はこれからの医療にますます欠かせなくなる

 ここ数年、これまで日本では見られなかった“未知”の感染症の脅威が増している。現在は、韓国で感染が拡大しているH5N6型の高病原性鳥インフルエンザウイルスが、日本に上陸するのは時間の問題だといわれている。

 他にも、SARS(重症急性呼吸器症候群)、MERS(中東呼吸器症候群)、エボラ出血熱などの新興感染症、ジカウイルスやデング熱など、ここ数年、日本でもパンデミック(感染爆発)が騒がれた感染症はたくさんある。

 そうした状況に備え、かねて感染症対策に高い実績がある順天堂大学医学部付属順天堂医院が、本格的なパンデミック対策に乗り出している。これまで経験がないような感染症のパンデミックが起こった場合を想定して、患者を守るための診療体制を維持するには最低限どれだけの医療スタッフが必要かを調査し、その最低限のスタッフ用にワクチンを確保する計画だという。

 他にも、2017年から千葉・成田市に新設される国際医療福祉大学医学部では、2020年に建設予定の医学部付属病院に「感染症国際研究センター」を設置する。海外との窓口である成田空港のお膝元なだけに、海外の新興感染症を含めた危機管理に対応していくという。

「こうした動きは、日本で未知の感染症のパンデミックが起こる可能性が高まっているからです。政府は、観光先進国を目指して訪日外国人旅行者を増やす目標を掲げています。東京五輪が開催される2020年には、訪日外国人を4000万人に増やす計画です。また、海外に渡航する日本人の数や、官民問わず国際交流の場も増えている。ますますグローバル化やボーダーレス化が進んでいるうえ、全世界的な地球温暖化も感染症リスクをアップさせます。いつ日本がパンデミックに見舞われてもおかしくない状況なのです」(都内の内科医)

 これからは、医師も患者も、感染症の知識や対策がさらに必要になるのは間違いない。

関連記事