極度の糖質制限は危険 がん患者が取るべき「正しい栄養」

藤田保健衛生大学医学部外科・緩和医療学講座の東口髙志教授(C)日刊ゲンダイ

「糖はよほどたくさんの量を摂取しない限り、がんの発育を早めることはありません。糖質を過度に制限すると、むしろ正常細胞が必要とする糖を著しく減らすことになります。そのため、がんも正常細胞も糖を得るためにタンパクや脂肪が崩壊され、著しく減少し、患者さん自身ががんより先に滅びてしまうことになります。大事なのは『糖を取らないこと』ではなく、『糖を正常細胞がうまくエネルギーに変えられるか』です」

 食べ物は、体内で炭水化物からブドウ糖に変わる。それが血液とともに全身を巡る間に、インスリンの働きで細胞内に取り込まれ、ピルビン酸に変わる。

「この過程を『解糖系』と呼びます。この時、細胞内が酸素不足、あるいはミトコンドリア内にブドウ糖の代謝産物ピルビン酸が進入できないと、ピルビン酸は疲労物質の乳酸に変わります。この乳酸からエネルギーを産生するのが『嫌気性解糖』です。がん細胞はこの経路でしかエネルギーをつくり出せません」

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