極度の糖質制限は危険 がん患者が取るべき「正しい栄養」

藤田保健衛生大学医学部外科・緩和医療学講座の東口髙志教授(C)日刊ゲンダイ

■終末期の栄養管理のギアチェンジで1割超が蘇る

 一方、細胞内に酸素が十分あり、ピルビン酸が細胞内のミトコンドリアに取り込まれると、「好気性解糖」が始まる。好気性解糖は正常細胞での主なエネルギー生成経路で、「生体のエネルギー通貨」ATPを産生する。

「好気性解糖なら、ATPは嫌気性解糖の18倍も多くつくれますが、酸素が十分あってもがん細胞は好気性解糖を嫌う。ですから、がん細胞が増殖するには、正常細胞の18倍の栄養素が消費されます。そのため、栄養を補給しないと体がどんどんと弱ってしまいます」

 その理由はハッキリしないが、がん細胞が好気性解糖を行うとアポトーシス(細胞死)するという説もある。

「いずれにせよ、がん患者への食事は好気性解糖にプラスになる栄養素を取ればいいのです」

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