看護師直伝 がん治療と笑顔で付き合う

看護師も悩む家族との関わり方

 先日、臨床経験3~4年目の看護師に苦手なことや困っていることを聞く機会がありました。

 すると、「ご家族とどのように関わったらよいのか戸惑います」「ご家族が患者さんの治療や生活に対して、どのような希望をもっているのかをなかなか聞けません」といったような声が多く聞かれました。

 看護領域では、患者さんだけでなく、患者さんとともにいる家族もケアの対象としていますので、このような悩みは意外と多いのです。看護師としては、家族が面会に来るチャンスを今か今かと待っています。ただ、看護師が少ない夜勤帯の時間に、仕事帰りで面会に来られる家族も多いですから、そういった場合、どうやって話をしようかと悩んでしまうのです。

「今、息子が来ていたよ」と、看護師が知らないうちに面会に来られている場合もあり、次のチャンスをうかがったりしています。

 家族の定義もいろいろ。ただ、一般的には、血縁で親等が近いとされる家族がキーパーソンと呼ばれ、患者さんの療養に大きく関わる人として認識されます。

 しかし、核家族化や独居高齢者の増加などから、その様相は変化しているともいえます。ペットも家族といわれる時代。キーパーソンが遠縁の方や友人であることもしばしば。最近では企業がダイバーシティーを重視したり、同性パートナーシップ制度を認める動きもあるため、“家族”のあり方が多様化しているのが現状です。

 がん治療においても、外来通院中は患者さん本人のみで来院されるケースが多く、医療者がご家族と主に接するのは入院治療の時点ということも少なくありません。

 患者さんの調子が悪ければ、それが影響してご家族の調子(体のことだけでなく関係性など)も、うまくいきにくい。逆の場合もあり、家族は互いに影響し合う存在なのです。だからこそ、がん患者さんも、がん患者さんのご家族も、一人で悩まずに外来や相談の場で、もっとお話ししてもらえればと思います。