余命は半年…がん治療医ががん患者になって分かったこと

「自分の命は、ある程度自分で責任を持つ覚悟が必要」と語る(提供写真)

「患者が変わらないと医療者も変わらない。自分の命は、ある程度自分で責任を持つ覚悟が必要なのです」

 医師の立場で「患者はこのように理解しているだろう」と考えていたことが、患者の立場からすると、必ずしもそうではない。

 たとえば、抗がん剤として処方される口腔内崩壊錠。飲みにくい錠剤を口の中でラムネのように溶けて吸収しやすくなるように開発された薬で、医師として処方している時は、「非常に有用な薬」と思っていた。

 しかし、自分が患者になって使い始めると、飲みづらい。口腔内崩壊錠は溶け出すと甘くなるが、抗がん剤の副作用による味覚障害で甘味の閾値が低下しているためだ。自分と同様に「ありがた迷惑な薬」と感じている人がいることも知った。

「理解できないことがある。しかし医師が忙しそうだから、質問をしたら悪いから、と黙っている。医師からすれば、『患者さんは理解しているから黙っている』となりかねません」

2 / 4 ページ

関連記事