間違えていませんか? 認知症予防の“俗説”ウソとホント

目や耳、口も脳に影響する
目や耳、口も脳に影響する(C)日刊ゲンダイ

 正月休みに帰省すると、親の様子が……。認知症患者は、2025年に700万人を超えると推計され、65歳以上の5人に1人がつらい晩年を送る計算だ。そんな目に遭わないように、認知症予防に努めている人も少なくないだろう。

 認知症予防の俗説のウソ・ホントをまとめたのが別表。その中でも大切なポイントについて、日本認知症学会指導医で「くどうちあき脳神経外科」院長の工藤千秋氏に聞いた。

「認知症の中で予防できるタイプが血管性認知症です。血栓で脳の血流が滞って、その部分の脳機能が衰えて認知症を起こす。いわゆるドロドロ血液になるような食生活や運動不足が続くと、血栓がいくつもできる恐れがあるため、よくないのです」

■目や耳も脳に影響

 心筋梗塞の発症と同じカラクリだから、野菜や魚を中心とした食事がいいのだが、別表の1については補足もある。

「肉一辺倒の食事はもちろんいけませんが、脂身の少ない良質な赤身肉は適量必要です。赤身肉に含まれる鉄は、必須ミネラルのひとつで、脳や細胞に酸素を運ぶ役割があります。実は、鉄の不足によって貧血になると、認知機能が低下しやすいという報告もある。脳の酸素量が不足し、神経が損傷したり、記憶力や思考力が低下したりするためと考えられます。ですから、鉄を補うためにもタンパク源としても、赤身肉が必要なのです」

 それが別表の2と関係する。

「市販のサプリメントは成分の含有量がまちまちで、医科向けのような十分量が含まれていないのです。買うなら医科向けを選び、赤身肉も取るのがベター」

 食事でよく噛むと、脳が刺激される。よく噛めない人は、脳への刺激が減るため、認知症が進みやすい。インプラントは高いと歯周病を放置している人は、保険で入れ歯を作るなどした方がいい。

 同じような理屈が目や耳についてもいえる。「老眼鏡は老けて見える」と裸眼でガンバる人がいるが、見た目はともかく、こと認知症予防に関してはダメ。よく見えるようにメガネをかけた方が、視神経を通じて脳がよく刺激される。

 脳トレは、同じような問題を長時間繰り返しても飽きるから、意味がないのだが……。

「ウオーキングしながら俳句を作るとか、頭を使いながら体を動かすのがいい」

 段取りを考えながら手を動かす料理はうってつけだろう。

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