臓器など体のパーツが人工的に作られるようになった時代、血液は最後の課題といわれてきました。
ところが2017年にはそれが変わるかもしれません。
英保健省がケンブリッジ、オックスフォードなどの大学と共同開発している人工血液は、発表によれば、人間の幹細胞と、へその緒から得られた血液を使用して作られています。
実用化されれば、一般の輸血用血液に代わるだけでなく、鎌状赤血球貧血のように頻繁に輸血が必要な患者や、珍しい血液型を持つ患者には非常に有効な手だてになると期待されています。17年から臨床実験として、希望する患者に輸血する予定です。
米ワシントン大学で開発されている人工血液は、常識を覆す「粉末状」です。
ErythroMer(エリスロマー)と名付けられたこの人工血液は、人間のヘモグロビンから作られ、通常の赤血球の5分の1の大きさ。
フリーズドライの状態でパッケージすれば手軽に持ち運べ、緊急時には水を加えて使用できるため、救急患者や戦場などで大けがをした兵士の命を救うために役立つと注目されているのです。
こうした人工血液はスーパーブラッドとも呼ばれ、人の命を救う有効な手段として歓迎されている一方で、懐疑的な見方をする人も少なくありません。ピュー研究所の調べでは、米国人の6割は人工血液に対し「不安を持っている」と答えています。
特に、より優れた機能を持つ血液を健康な人間に輸血することで、肉体を強化できる可能性もあることに対し、モラルや宗教的な理由から強い抵抗感を持つ人も珍しくありません。
しかしいずれにせよ、こうしたスーパーブラッドの時代がすぐそこにやってきているのは間違いありません。
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