受診までの「応急処置」

【せき止め】気管支拡張作用も ハチミツ・コーヒーなどが効く

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コーヒ-(C)日刊ゲンダイ

「せき」は、空気の通り道の気道に侵入した異物(ほこりや煙、ウイルス、細菌など)を外に追い出すために起こる体の防御反応。気道の粘膜表面に分泌されている粘液が異物をからめとったものが「たん」で、せきは、たんを外に出す役割もしている。

「池袋大谷クリニック」(東京)の大谷義夫院長(日本呼吸器学会指導医)が言う。

「せきが出る呼吸器疾患はさまざまですが、急性のせき症状で感染症が疑われた場合、まず患者さんに聞くのは“たんの色”です。たんが透明ならウイルス性、黄色や緑色なら細菌性の可能性が高いという特徴があるからです」

 いずれにしても軽症なら“せき止め”の応急処置として、とりあえず「ハチミツ」を試してもらいたいという。そのままなめてもいいし、お湯に溶かしてハチミツ湯で飲むのでもいい。

「民間療法でたくさんの食材が“せきに効く”と挙げられていますが、即効性があり、医学的に効果が確認されているのはハチミツくらいです。海外論文を見ても、せき止めの処方薬のデキストロメトルファンよりも、ハチミツの方が有効性が高いという研究結果が複数出されています」

 冷たい空気を吸ったときにせきが出るような気管支の弱い人の場合、ぜんそくの予防対策として「コーヒー」を勧める。コーヒーには、ぜんそくの薬の「テオフィリン」と似た物質が含まれ、気管支拡張作用があるという。

「欧州の論文では、1日にコーヒーを3杯飲む人は、飲まない人に比べて、ぜんそくになる可能性が28%低下するという研究データがあります」

 ファイトケミカルの一種「ブロッコリースプラウト」(カイワレダイコンに似た野菜)も気管支収縮を抑制して、ぜんそく予防になることが米国の研究で分かっているという。

「市販薬を使うならせき止め薬より“去たん薬”の方がいいでしょう。せき止め薬はせき中枢に作用して“せき反射”を止めてしまいます。しかし、せきは生体防御反応なので、せきを止めずに去たん薬でたんの排出を促した方が本当は治りが早いのです」

 医者を受診したとしても、インフルエンザではタミフルなどの抗インフルエンザ薬の処方となり、ウイルス性の風邪では抗生物質は効かないので、結局、3~4日寝て静養することが一番の治療になる。細菌性(肺炎球菌や黄色ブドウ球菌など)の場合であれば抗生物質を使って治療ができるという。