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がんの標準化死亡比は住みやすい自治体ほど低くなる

東京都杉並区・阿佐ヶ谷の商店街(C)日刊ゲンダイ

 注目は川崎市です。川崎市は多摩川の南岸沿いに、東西に細長くのびています。その東端、東京湾に面しているのが川崎区、西端の丘陵地(多摩丘陵)にあるのが麻生区です。昨日見たとおり、川崎区の数字は122.9で首都圏最悪。ところが麻生区は、表にあるように81.2で、首都圏3位につけているのです。この2区は、直線距離でわずか20キロしか離れていませんが、川崎区の住民が、麻生区の住民よりも、およそ1.5倍だけ、がんで亡くなる確率が高いというわけです。

 同じ市内でありながら、これほどの差がついているのは、全国的にも川崎市だけです。しかも、東に行くほどがんで亡くなる確率が高まり、西に行くほど下がる傾向があります。もし川崎市に住むことになったなら、できるだけ西寄りを選んだほうがいいかもしれません。

 関西圏(京阪神エリア)は全国的に見て、がんで亡くなる確率が高い地域です。そのなかで確率が低いトップは京都府長岡京市(85.8)。しかし、10位の兵庫県宝塚市ですでに93.3と、全国平均(100.0)に手が届きそうな数字になっています。

 中京圏は、取り立てて数字の低い自治体はありません。1位から10位まで、すべて関東と関西の中間の数字が並んでいます。良くも悪くも「どっちつかず」が中京圏の特徴です。

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永田宏

永田宏

筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。