足や手の爪を短く切り過ぎて、爪が肉に当たって痛い。どうすればいいのか。山手皮フ科クリニック(東京・高田馬場)の豊福一朋院長は「指のサイズに合ったテーピング用の細めのテープを用意してください」と言う。
「テープの端を爪の当たる肉の部分に貼り付けて、テープを引っ張りながら指に“らせん状”に巻きつけて固定してください。これで痛みは楽になるはずです。しばらく続けていれば爪も正常に伸びてきて、元の痛くない状態に治ります」
特に足の親指を深爪すると、体重がかかるので痛みが強い。それに爪の横の肉が盛り上がるので、爪が伸びてきても食い込んで痛い。痛いから、また深爪をする。
その悪循環を繰り返していると、爪が常に食い込んだ状態になり、周囲が赤く腫れて痛い“陥入爪”の原因になる。
傷がつくと、うんでしまうこともあるので、深爪をしたら早期にテーピング法できちんと爪を治すことが大切という。
「爪の正しい切り方は、爪はなるべく水平に切り、端の部分は切らずに残しておくことです。爪が硬いと間違って深爪をしやすいので、お風呂上がりに切るといいでしょう」
深爪の痛みは爪が肉に当たる物理的なものなので、市販の痛み止めなど飲んでも意味がないという。傷があれば化膿止め(軟膏)を塗っておくのがいい。
手の爪をかんだり、深爪をするクセのあるような人の場合、爪のささくれや甘皮をむいてしまうことがある。
そのような場合も傷をきちんと消毒しておいた方がいい。傷口から黄色ブドウ球菌などの細菌が入り込むと、爪の周囲が赤く腫れて痛い「ひょう疽(そ)」を起こすことがあるからだ。進行して膿(うみ)がたまると、ズキズキする拍動性の強い痛みが表れる。
「痛みが強くて、夜眠れないこともあります。応急処置としては、加熱消毒した太い針やカッターなどで膿のたまっている部分に穴を開けて、膿を排出すれば痛みは急速に治まります。ただし、痛みは取れても抗生物質(抗菌薬)で治療しないと再発するので、必ず受診はしてください」
薬局でも抗生物質の軟膏が売られているが、市販薬の多くはすでに耐性菌ができているので効きが悪いという。医療機関では内服と軟膏の両方を使って治療する。
爪の周囲は神経が敏感なので、痛みが出れば予想以上に強い。小さな傷でも注意しよう。
受診までの「応急処置」