医師の説明のまま、だいたさん夫妻は全摘手術を受けることを決断。乳房を失い、抗がん剤治療の後、ホルモン療法を受けています。しかし、このケースだと、全摘せず乳房を残せた可能性が高かったと思えてならないのです。
■乳がんで全摘したオッパイは温存できたはず
ポイントは、「ホルモン受容体陽性」。この用語は、乳がんのホルモン療法が効くことを意味します。いきなり手術を受けるのではなく、まずホルモン療法で腫瘍を縮小すれば、広く手術をする必要がなくなり、乳房温存手術を行うことができる可能性が高くなります。そうしてから放射線治療を加えれば、治療効果は全摘手術とほぼ同じ。
しかし、現実は逆の選択をされています。ステージⅡの治療法として全摘はガイドライン上、間違ってはいませんが、女性の象徴を失うハンディは重い。治療効果が同じ可能性があるなら、乳房温存治療を選んでもよかったでしょう。乳房温存手術なら、手術の合併症の肩の運動障害も比較的軽く、術後の回復が早いというメリットもあるのです。
Dr.中川のみんなで越えるがんの壁